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T's Columns

多少過激なコラム書き殴り

ヤマギシズムについて

ヤマギシズムを知っているか?

三重県津市の富里という場所にヤマギシズム社会実顕地という村がある。正式名は幸福会ヤマギシ会という。組織は農事組合法人で、農作物、酪農生産品の売り上げではトップランクだ。最盛期には年間160億円もの売り上げがあったそうだ。

養鶏家の山岸巳代蔵が提唱した原始共産主義的理念の山岸式養鶏会が母体だ。発足は昭和28年(1953年)のことだというから既に60年以上の歴史を持っている。会の理念は私有財産の否定と共有だ。当初10数人で始めたことだったそうだが、すでに全国に28カ所、世界に6カ所の実顕地がある。生産品の配給所は全国にあるようだが実態は明かされていない。ネット販売も行っている。

1週間の特別講習研鑽会を受ければ会員に、その後2週間の研鑽学校で講習を受講すれば入村を許されるそうだ。入村したら私財は全て会に寄付することになっている。

実顕地では金銭は不要だ。私有物がないので皆で同じ物を使い、同じ物を食べ、同じ所に住む。欲しい物は紙に書いて提出すればそのうち集会所に届くそうだ。車も何台もあってガソリンなどはタンクローリーで購入している。

20年ほど前に一度富里を訪ねたことがある。伊勢道路沿いに広大な農場があった。富里の実顕地は当時パソコンを使ったダウンサイジングを実現していて、全国の物流管理システムを構築していた。現在はどうか知らないがPC-UNIXを使ったシステムだったと記憶している。何しろ元は無料のOSを使ったシステムなので彼らには絶好のシステムだったようだ。そのシステムの見学に行ったのだ。

システム管理室にはパソコンが数十台もあって若者がしきりにキーボード操作をしていた。日がな一日パソコンに向かっているという。全て専門家だということだった。

昼食をご馳走になったが、無農薬栽培の野菜と有精卵は味の濃い昔の味でとても旨かった。野菜が青臭いほど濃い味で、子供の頃に食べた味を思い出したものだ。養鶏では昔から有名で、肉も最高級品だという。牛や豚も飼っていて、農場ではこれも懐かしい干し藁の匂いが充満していた。

ヤマギシズム私有財産を否定するためか、自我欲を捨て去るように教育するようである。自己主張も否定されるので誰もが従順だという。当然個性は無くなる。誰もが同じことをするのだから当然だろう。子供も共有財産と考えられ親元から離され集団生活をしているという。当時は小学校くらいしか無かったが今では大学まであるという。若者は重要な労働力だ。仕事は本部からの割当制で、前もって自分が作業可能な時間を申告するという。報酬はむろん無い。能力による評価も無いので怠け者はずっと怠け者のようだ。同じことをするといっても勤勉な者と怠け者は無くならないということだろう。

勤勉な者が不満に思わないのかと思ったら、そこが教育の成果で何事にも腹が立たない者たちばかりだというのだ。それともう一つ、秘密があった。

村での結婚に関することだ。結婚は調整機関の推薦で行われるという。女は若い方が良い子供が生まれるという山岸巳代蔵の教えがあるそうで、20歳前後の女が選ばれるという。男は年齢に関係なく勤勉な者が選ばれるそうだ。ここで男の不満は解消されるようになっているのだろう。

推薦を拒否する女はいないという。自己主張が長年禁止されてきたせいだ。一夫一婦制もこだわれば所有欲につながるので夫婦関係も曖昧だという。子供も早くに母親から引き離されるので家庭は無いに等しい。正に原始共同体だ。

共産主義者は夫婦別姓やら子育て拒否やらに陥る傾向があるがヤマギシズムの思想が正に同類なのだ。ヤマギシズムが原始共産主義といわれる所以だ。

共産主義は自由よりも平等を追求する思想だ。貧富の差も階級の差もなくすことを理想としている。ヤマギシズムはその実践地だ。しかしそのためには個性を無くし、集団の意見を自分の考えとして従順になることが必要なのだと我々に教えてくれている。個人崇拝に陥る危険性がそこにある。

村で見かけた人々は一様に無気力な顔をしていた。世捨て人が多いせいだと後で知った。血縁にこだわらず、親子の情も不要だと思う人間でなければ村での生活はできない。それが共産主義的人間ということだ。毛沢東文化大革命当時、親子兄弟が互いに非共産主義的行為を密告したことを思い出す。

共産主義が理想だと思う者は豊里に行ってみると良い。食事が旨いことは保証する。